欲しかったもの。
2002年10月1日結婚前。数回、「不倫」というものをしたことがある。
一番最初の不倫は、確か20歳の時。
相手は42歳だった。
アルバイト先の取引業者の人だった。
ただの、「オジサン」だった。
お金も無いし、格好よくもなかった。
女にモテるタイプでもなかった。
でも、20歳の私は、まだそんなに歪んでなかった。
ただ、純粋に、人に愛されたかっただけだ。
彼に、お泊りは絶対させなかったし、
彼の自宅に電話だってしたことがない。
彼の家庭を、壊したくはなかった。
自分が18歳で家を飛び出した事もあって、
「家庭」とか「家族」というものに、
ものすごい憧れがあった。
冷たい、暴力の飛び交う、精神的苦痛を与えられる、
愛情の欠片も、自分の居場所さえない家庭で育ったから、
彼の家庭を壊したいとは、これっぽっちも思わなかった。
家庭を大切にして欲しいと思ってた。
毎日、会ってはいたけれど、ちゃんと門限には帰した。
それに、私の誕生日はクリスマスイヴ。
彼は「一緒に過ごしたい。」と言った。
私は、「プレゼントを持って帰ってきてくれるパパを
待っている子供がいるよ。」
と、やっぱり冷たく帰した。
その後。
歪みに歪んでいった私。
でも、どこかで、「女って怖いな」って思ってた。
若さだけで、1つの家庭を簡単に壊せる。
後々の不倫では、色々なことをやらかしたけれど、
それは、「若い女っていうだけで、一体どれだけの事が
できるのか?」という、
歪んだ私の興味だった。
お金も、欲しい物も、快楽も、全て簡単にもらえる。
壊してみたいものは、簡単に壊せる。
勿論、リスクはあるけれど、それは当時の私にとっては、
大した問題ではなかったし、大した事だとも思わなかった。
幼い頃から、全てを我慢してきた。
だから、全てを、思うがままに動かしてみたかった。
我慢なんてしない。
今、大切なのは私だけ。
・・・そう、本気で思ってた。
でも。
今、自分が結婚して、
自分が一番欲しかった自分の「家庭」を手に入れて。
旦那と2人きりだけど「家族」で。
・・・そんなに簡単じゃないんだなって思う。
そんなに思う通りになんていかない。
そんなに簡単に壊れない。
世の中も何にも分かんない、家族の愛も知らない、
若いだけが取り柄の女に、
そんな権利もなければ、力も無いよ。
そう。自分に浸っていただけ。
「何でもできる」って。
そして。
誰か。誰でもいいから。形だけでもいいから。
「愛」というものを与えて欲しかっただけだ。
それが偽物だと分かっていても。
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