18歳の時。家を出て。
初めての一人暮らし。
初めての夜。
解放感と共に襲う、孤独感。
そんな時、引いたばかりの電話が、鳴った。
「もしもし」
名乗らなくたって、声ですぐ分かる。
涙が溢れた。
「先生・・・」
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あの時と、変わらない声。
「元気でやってるか?」
「離婚するの。そっちに帰るわ。」
「なーにやってんだよ、お前は。」
「っていうか、何年ぶり?(笑)」
「2年ぶり(笑)。 もうすぐクリスマスだなと思ってたら、
お前の誕生日を思い出したんだ。」
「先生、いくつになった?」
「もう40だよ。オジサンだ(笑)」
「そっかー。私なんて、まだ30にもなってないんだよ。
若いでしょ?(笑)」
「じゃあ、お前が帰ってきたら、また錦糸町ででも
デートしてやらないとな(笑)。」
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高校時代、通っていた予備校の、日本史の先生。
「大学落ちたら、結婚しよう」なんてプロポーズまでしてもらった(笑)。
高校生だった私は、何とか先生と釣り合いを取りたくて、
一生懸命、背伸びしたお洒落をして。
でも、先生は、一回り以上も年が違う私に安心してたのか、
いつも子供みたいに、クリームソーダを嬉しそうに食べてた。
先生が別の女性と結婚してからも、
私が近くに遊びに行くたびに会って、
プリクラを取って、
それらは未だに先生の定期入れに張ってある。
まだ、その時の先生の歳にもなっていない私。
あの頃、若すぎた私を、先生はどんな目で
見てたんだろうね・・・。
離れていても、年月がたっても、
過去の綺麗な思い出は変わらない。
先生の優しい声を聞くと、
懐かしくて、涙が出るんだ。
近々会ったら、ビックリさせてあげる。
あの頃よりいい女になった、
私に会うのを、楽しみにしててね。
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