年賀状の準備をする。


今年、頂いた分のハガキを整理しながら、
ふと、手が止まる。


ばあちゃんからの年賀状。


独身時代から、毎年届いてた。
けれど、そこには一言も添えられることなく、
ただ、挨拶状、というだけのものだった。


両親と絶縁し、結婚してから、
ばあちゃんに年賀状が出せなくなった。
ばあちゃんは、私が結婚した事を知らない。
名字が変わったことを知らせたくても、
知らせることはできず、
旧姓で年賀状を出す事も考えたけれど、
そんなことはできなかった。


旧姓のままの私の宛名で届いた、
今年のばあちゃんの年賀状には、
初めて「一言」が添えられてあった。


「お元気ですか・・・」
震えてる字。


何を想い、その一言をやっと書いたことだろう。


大正生まれのばあちゃんは、
もういつ逝ってしまってもおかしくない。
それでも、「みやびの花嫁衣裳を見るまでは・・・」と
何度も死の渕を乗り越えて、生き続けている。


そして、ばあちゃんが望んでいる、
花嫁衣裳を着た私の隣に立っている人は、
お医者様だ。
私は、見事にそれを裏切り、
そして、今後もその期待に添うようなことはないだろう。


「ばあちゃんが死んでも、葬式には出れないけれど、
落ち着いた頃には、必ず、お墓参りに行きたいの。
人目につかないように・・・。」
そう、夫に言い続けてた。


でも・・・。
たった一人の孫娘。
年賀状が届かなくなってから、
どんなに悲しい想いをしていただろう。
きっと、毎日、郵便受けを覗いていたんだろう。


離婚しても、私は今の名字を名乗りつづける。
旧姓には戻らない。


ばあちゃんが生きているうちに、
年賀状を出せる日は、
くるのかな・・・。


ばあちゃん、ごめんね。
ごめんね。ごめんね。


あなたの可愛い、大切な、たった一人の孫娘は、
連絡をしないことでしか、あなたに生きる希望を与えられない・・・。


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