ばあちゃんからの年賀状
2002年12月20日年賀状の準備をする。
今年、頂いた分のハガキを整理しながら、
ふと、手が止まる。
ばあちゃんからの年賀状。
独身時代から、毎年届いてた。
けれど、そこには一言も添えられることなく、
ただ、挨拶状、というだけのものだった。
両親と絶縁し、結婚してから、
ばあちゃんに年賀状が出せなくなった。
ばあちゃんは、私が結婚した事を知らない。
名字が変わったことを知らせたくても、
知らせることはできず、
旧姓で年賀状を出す事も考えたけれど、
そんなことはできなかった。
旧姓のままの私の宛名で届いた、
今年のばあちゃんの年賀状には、
初めて「一言」が添えられてあった。
「お元気ですか・・・」
震えてる字。
何を想い、その一言をやっと書いたことだろう。
大正生まれのばあちゃんは、
もういつ逝ってしまってもおかしくない。
それでも、「みやびの花嫁衣裳を見るまでは・・・」と
何度も死の渕を乗り越えて、生き続けている。
そして、ばあちゃんが望んでいる、
花嫁衣裳を着た私の隣に立っている人は、
お医者様だ。
私は、見事にそれを裏切り、
そして、今後もその期待に添うようなことはないだろう。
「ばあちゃんが死んでも、葬式には出れないけれど、
落ち着いた頃には、必ず、お墓参りに行きたいの。
人目につかないように・・・。」
そう、夫に言い続けてた。
でも・・・。
たった一人の孫娘。
年賀状が届かなくなってから、
どんなに悲しい想いをしていただろう。
きっと、毎日、郵便受けを覗いていたんだろう。
離婚しても、私は今の名字を名乗りつづける。
旧姓には戻らない。
ばあちゃんが生きているうちに、
年賀状を出せる日は、
くるのかな・・・。
ばあちゃん、ごめんね。
ごめんね。ごめんね。
あなたの可愛い、大切な、たった一人の孫娘は、
連絡をしないことでしか、あなたに生きる希望を与えられない・・・。
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