ちっぽけな。
2003年2月9日北海道の街は、碁盤の目。
ライトアップされた、整えられた目下の景色に、
もう、生涯二度と、見る事はないだろうと、
暗くなった夜間飛行の機内の中、1人、
こぼれ落ちかけた涙をこらえる。
また1つ、帰る場所を失う。
自分が思っていたよりも、その傷は深かった。
痛くて、痛くて、うずいて、うずいて、
心臓を抑えながら、
「助けて」と叫ぶ心を、無理矢理、封印する。
自分で、決めた事。
全部、全部。
用意された離婚届。
ダンボール。
離職票。
空港の到着出口で待っていてくれたのは、
欲しくて欲しくてたまらなくて、
やっと手に入れたはずの、自分の「家族」。
形だけでも手放したくない、自分の「家族」。
今の私には、まだ、受け止め切れない、
耐え切れない、現実に、
倒れそうになりながら、
吐き気を催しながら、
それでも、必死に、正気を保って、
真っ白な地面に、両足を踏みしめる。
泣くのは、
倒れるのは、
壊れるのは、
全てにケリをつけてから。
全て自分で招いた結果。
選んだ結果。
そんな自分を、とことん恨んで、
恨んで、恨んで、恨み抜けばいい。
こんな選択しかできない、ちっぽけな自分を。
責めて。攻めて。
その先で、自力で這い上がれる自分を信じて。
本当に正しい答えなんて、
誰も教えてくれない。
誰も触れられない。
空気の綺麗な星空の下、
そんな事は、全部、ちっぽけな事。
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