5年ぶりのデート。

2003年3月25日


「もしもし、今、どこに居る?」

「もしもし、今、何してる?」

「早く家に帰れよ。心配してんだぞ。」


夜。11時を回る頃に鳴る、携帯着信音。


駅から家に辿り着く合間にかけてくる、「先生」。


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「東京タワーに行きたい。」


そう言った私の願いを、すぐに叶えてくれる。
5年ぶりのデートは、土曜日に決定。
奥様に「仕事」だと偽り、スーツ姿で来る先生に合わせて、
何を着ていこうか、私は今から大ハシャギ。


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奥様は、私の事を知っている。
何せ、私が通っていた予備校の事務のオネエちゃんだった訳だし、
先生と私が付き合っていたことも知っている。


私が結婚した時、結婚祝の品を見繕ったのも奥様だし、
自宅に電話をかけても、すぐに私だと分かって、
対応はとても親切に、「お元気で過ごしてらっしゃるの?」
なんて言ってくれてた。


ところが。
私が離婚した事を知った奥様は、面白くない訳だ。
未だに、先生の定期入れに貼ってある、
私と先生の2ショットプリクラは、
奥様に不毛な想像をさせる。
だから、先生は、私と会うことを奥様に言えない。


結婚して、もうすぐ10年。
2人の子宝にも恵まれ、
5LDKのマンションに住み、
何の不自由も無いどころか、
家事すらまともにしていない奥様。


先生は、深夜に帰宅し、掃除機をかけ、夜ご飯を自分で作り、
家計までもをやりくりしている。


そんなこんなで、私が離婚する少し前から、
先生と奥様の間では、離婚届が飛び交っていた。


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「ねぇ。携帯の履歴とか、ちゃんと消しておきなよ。」


ゴタゴタに巻き込まれるのは不本意。


やましい事も無いのに、私との事を、変に隠そうとするのも、
今の先生にとっては、マイナス材料よ。
言えないのなら、証拠は確実に隠滅すべきね。


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でも。
離婚はしない方がいい。
して欲しく無い。


先生は、何でも1人でできる人だけど、
「家庭」や「家族」を失う事は、
想像以上の喪失感に襲われるから。


最初に子供が生まれた時の、
あの感動を忘れないで。


いくら愛していないとしても、
貴方の愛する子供を、腹を痛めて産んでくれたのは、
他ならぬ奥様よ。
その感謝だけは、忘れないで。


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ねぇ。先生。
こ洒落たお店じゃなくて、ファミレスに行きたいな。
北海道は、ファミレスってあんまり無かったから、
すごく楽しいの。


あの時みたいに、クリームソーダを注文しようよ。
あの時みたいに、歴史の話を聞かせてよ。
あの時みたいに、笑えるようにしておくから。


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あの時よりも、少しだけ大人になった私に、
先生は、何を感じるのかな・・・?


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