10年
2003年5月17日お昼を2時間ほど過ぎた所で、ようやく仕事が終わり。
これからまた、1時間半かけて帰宅したら、
半ドンの意味ゼロじゃん・・・みたいな気分で。
外に出ると。
土曜は仕事が休みのヤツが、車で迎えに来てくれてて。
電車とバスを乗り換え、乗り継ぎ、帰る、
帰宅状況を想像する疲労が、ちょこっと癒されて。
「サンキュ。」と、素直に甘えて助手席に乗り込む。
てっきり、まっすぐ家まで送ってくれると思いきや。
気付けば首都高・・・。
「ねー。どこ行ってんの?」
「秘密。」
「今日さ、夜、飲み会なんだよね。」
「その時間までには帰すから。」
どこをどう走っているかも分からないまま、
渋滞に巻き込まれて2時間。
ふと。
懐かしい景色が飛び込んできた。
「・・・・・!! マジ?」
「マジ(笑)。」
10年前、住んでいた街。
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通学路だった道を通り。
住んでいた家を回り。
そこに大きな変化は無く、でも、自分が今そこにいることが
ものすごく不思議な感じ。
通ってた予備校は、建物はそのままながら、
大手の予備校に吸収されて名前が変わっていて。
バイトしていた店は跡形も無く消えていて。
利用していたスーパーは、訳が分からないほど
全ての配置が変わっていた。
・・・10年。
変わるものがあれば、変わらないものもある。
でも、その「時」の長さを、しみじみと噛み締める。
「10年前、お前はここにいたんだな。
10年後のお前は、どこにいるんだろうな。」
10年前の過去を、振り返り見ることはできても、
10年先の未来は、想像することしかできない。
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ヤツとは同い年だから。
その時代のその年齢の、感覚や価値観で、話が通じる。
世代の違う人と話す事は楽しいし、得る事も多いし、
そういうことの方がめっぽう多いのが現実。
勿論、年齢だけじゃない。 だけど。
その時代に、その年齢で生きて来た事に、
10年という時間は、思っているよりギャップがある。
そんなことを、ふと感じながら、
一方的な10年前の思い出話が、止まらない。
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ヤツの前では、絶対に泣きたくなかったのに。
次から次へと、涙がこぼれ落ちる。
理由は。
やっと、「帰ってきた」気がしたから。
「帰ってきた」ことを、肌で実感できたから。
離婚して、故郷ではないにしろ、
元住んでいた土地に近いところに拠点を移し、
「帰ってきた」と称してみても。
住んだ事の無い街に住み、
その頃の友人達と、中々思うように再会も果たせず、
思っていたような、「帰ってきた」という実感は得られなくて。
それが苦しかった。
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夜。 遅れて参加した飲み会の酒は。
久しぶりに。 悪くない酒だった。
酒だって。 10年モノは、やっぱりちょっと違うよな・・・。
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