昨年、被災地で、
20年ぶりの再会を果たしたのだけれど。
今年、さらに記録を更新することになるとは、
思いもよらなかった。
旧友の依頼をどうしても断れず、
23年ぶりに岡山へ。
急なこと過ぎて、バタバタで。
普段、こんなことでは仕事を休めないのだけれど、
事情も言わずに急遽、休みをもらい。
飛行機と新幹線とホテルの手配をして。
過去の年賀状の束をひっくり返して、
連絡の取れそうな友人に連絡するのも一苦労。
年賀状って、案外、アドレスとか載ってないものなのね…。
下手すると、住所しか載っていなかったりして。
でも、時間がない。
とにかく、この情報化時代には負けまいと、
怪しまれたっていいと、
片っぱしから家電に電話した。
そして、数日後、岡山へ…。
23年ぶりの岡山。
遠すぎる記憶に、中々ピントが合わせられない。
私が岡山に住んでいたのは、中学生の頃と高校の3か月間。
新潟の小学校を卒業し、岡山に来て、
高校の夏休みには、千葉に転校させられていた。
■■■ 1日目 ■■■
一先ず、旧友とホテルで待ち合わせ。
23年ぶりに会う友達を探せるか、自信が無かったから、
私の宿泊先のホテルまで来てもらった。
… ? ? ? …
でも、フロントに居るの、あの女性だけだ…。
「みやび、久しぶりやなぁ!!」
あー。こんなにキレイになったんだ…。
あー。なんとなーくだけど、面影はある。
あー。23年ってすごい…。
「ごめん。わからんかった。」
「ほんま? うちはすぐ分かったよ。みやび、変わってねーもん。」
「そう? 節子はきれいになったなぁ…。」
節子は、中学時代の同級生。
そんなに特別仲が良かった訳ではないけれど、
時々一緒に帰ったりしていたような記憶がある。
私が同級生だった間だけでも、苗字が3回も変わるような、
複雑な事情のある家の子だっただけに、私とは気があった。
卒業後も、何となく、何となく、繋がりが続いていて。
20代の後半に、彼女が自殺未遂を図った時、
他県から警察に通報したのも私だった。
「あんときと、今回と、みやびには2回も救ってもらったんやなぁ。」
「あたしがただ、出しゃばりなだけじゃろう?」
そんな話をしながら病院へ。
また明日ね…と一旦別れる。
そこから駅前広場の噴水へ。
大親友だった、美優と待ち合わせ。
「みやちゃーん。みやちゃん、みやちゃん、ほんまにみやちゃんよなぁ。」
あー。みんな細くなるんだなー。
あー。あの美優が、3人の子供の母親なんてなー。
あー。23年ってすごい…。
「みやちゃん。すごーい、すごーい。会えたねー。」
「かわらんなぁ。」
「もうね、電話もらってからどうしていいか分からなくって…。」
「生きてるうちに会えて良かったじゃろ。」
美優とは、中学の入学式の日に出会った。
お互い転校生だったこと、たまたま同じクラスになったことから、
毎日毎日、一緒にいるようになった。
登下校も、部活も、塾も、何でも一緒だった。
ずっと一緒に過ごしてた。
キャピキャピしながらも、積極的ではなく、世間知らずだった美優は、
いっつも私の後ろにいて、どこまでだって着いてきた。
高校受験ももちろん一緒。合格発表も一緒に見に行った。
二人とも第一志望校に合格。また同じ制服を着ることになった。
その後も、文通や旅行をしながら、20歳くらいまで交流があった気がする。
今は3人の女の子の母親で、フルタイムで医療事務の仕事をしている。
今日は、美優のお母さんが子供たちを見てくれているらしい。
年賀状で見る美優の子供たちは、特に長女が昔の美優にそっくりだ。
そして。
ゲストの私を上手にエスコートできないこの不器用さも、
キャピキャピ笑って、私の後ろを歩く姿も、昔と全く変わらない。
とりあえず、居酒屋に入る。
美優は昔と変わらず、メニューだって選べない。
結局、私がオーダーをするのも、変わらない光景だ。
何から話していいか分からくて、
昔話と今までの話がぐっちゃぐちゃになりながら、
とにかく話した。
帰り際に、涙ぐんで寂しさアピールも、
なんて昔と変わらないんだろ。
かわいいヤツめ…。
■■■ 2日目 ■■■
次の日、節子の入院先の病院へ。
手術は予定通りに始まったけど、中々戻ってこなくて。
夕方近くにようやく戻ってきた節子は、まだ麻酔が効いていて、
話すのもやっとな状態だった。
「無事に終わったけん。安心しぃ。また、明日来るけん。」
そう言って、ドクターから一通りの説明を受けて、安心し、ホテルに戻った。
ホテルに戻って、着替えて。
倉敷からわざわざ出てきてくれた元ちゃんと駅で待ち合わせ。
車で待っててくれた元ちゃんは、すぐに元ちゃんだと分かった。
「変わっとらんねー。」
再会を喜び合って、しばしのドライブ。
元ちゃんとは、高校時代、一緒にサッカー部のマネージャーをしてた。
とはいえ、マネージャーは確か7人くらい居たんだけど…。
私の転校で、3カ月しか一緒にいられなかったけど、
その後も電話や手紙のやりとりがあったり、
千葉に遊びに来てくれて、一緒にディズニーランドに行ったりもした。
元ちゃんは、ものすっごく面食いで、
付き合う彼氏はみんな格好良かったけど。
最初の旦那さんは年下で、それまでで一番イケメンだった。
こだわりにこだわりぬいた結婚式のドレスを着た元ちゃんの
「結婚しました」の挨拶状は、本当に幸せそうだった。
届いたよ、と電話をしたら、
「もう、エステもめちゃくちゃ頑張って、
ドレスも、ものすごく時間をかけてこだわったの。」と弾むような声。
でも、その半年後、旦那さんが職場の造船所の事故で亡くなった。
元ちゃんは「死にたい、死にたい」を繰り返すようになった。
そのうち、連絡も中々とれなくなった。
数年後、再婚して子供を産み、改名までした元ちゃんから、
年賀状が届いた。
ホッとした。良かったね、良かったね…心から思った。
2人の娘さんはめちゃくちゃ可愛くて。
毎年の年賀状の中でも、ダントツで可愛い。
そして、スイートピー畑で働いているという元ちゃん。
きっと、前の旦那さんが亡くなった後には、そういう環境が
彼女に必要だったのだろう。…と勝手に想像していた。
お洒落なパスタ屋さんに入店。
今までのことを、お互いに話すだけで3時間は経った。
前の旦那さんを事故で亡くして、傷心だった彼女。
自殺未遂を起こして実家に連れ戻され、
周りの友人が誘ってくれる気晴らしの旅行に行く度に、
出会った男と寝てたと話す。
「正直、相手なんて誰でも良かった。ただ、どうしても子供が欲しかった。」
結婚した時は、新婚生活を楽しんでから子供を作ろうと、
旦那さんと話し合っていたけど、こんなことになるなら、
子供を作っておくべきだった…と悔やんでた。
ようやく妊娠し、再婚しようと思ったら、相手は妻帯者…
ドラマみたいな話。
紆余曲折を経て、再婚。2児の母になったけれど。
今の旦那さんには気持ちが全く無くて。
子供を産んで育てる為だけに結婚して。
そのうち、好きになれるかな…と思っていたけれど。
やっぱり、ウザい。
離婚したくても、生活のことを考えると無理だなって思う。
早く子供が大きくなってくれて、手に職をつけてくれて、
私を養えるくらいになったら、子供と一緒に家を出るのが
今の将来の夢。
元ちゃんは、うつむきながらそう話した。
■■■ 3日目 ■■■
朝起きて、ホテルの朝食のままかり漬けに舌鼓。
やっぱり、みそ汁が好きみたいでおかわり。
帰り支度をして、チェックアウト。
そのまま、節子のいる病院へ。
「帰るけん。あとは、大丈夫じゃろ?」
「彼氏が来てくれるけん、大丈夫。」
「そっか。会わなくて良かったよ。」
彼氏…。
節子の彼氏はいっつも妻子持ち。
いわゆる、不倫ちゃんだ。
今回の彼氏とは、結構長く続いているし、
経済的な援助もしてくれているけれど。
私は、正直、会いたくはなかった。
「いつか、また、会えるといいね。」
そう言って、病院を後にする。
そのまま岡山駅へ。
お土産買うのも一苦労。
特に、職場には、それ相応の物を買っていかないと…。
スーツケースに入りきらない程のお土産を持って。
23年も経てば、
みんな色々なことがあって。
色々なことを経験して。
だけど。
そんなに何かが大きく変わるわけじゃないんだな…。
なんか、その人の「根本」みたいなのが
やっぱりあって、それはそんなに変わるものじゃない…。
そしてそれは、きっと私もそうなんだろう…。
そんなことを考えながら、家路に着く。
久しぶりのママの登場に、どうしたらよいかわからずに困惑する愛犬と、
一人旅なんてさせたら…と心配でたまらなかった嫉妬深いパパが
「お帰り。」と安堵しているのが、
我が家らしくて、それもまたアリかもなと思った。
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